第51回:特許の権利としてのコトバ!

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、特許のお話しです。
最近は、特許続きです。
特許って言うのは、言葉が重要って話をしてきました。

それでは、特許の権利範囲を示す言葉って
どんな風に表現するんでしょうか?

カレーライスの発明を例にして、
ごくごく簡単に言うと、こんな感じです。

「バナナとミカンが入ったカレーライス」

“重要って割には簡単じゃん”という印象かもしれません。
でも、本物を紹介すると、たぶん読む気無くします(^_^;)

なので、あり得ないくらい簡単にしてます。
まあ、本質は同じなので、世界観を味わって頂ければと思います。

さて、こんなんで、特許権という権利範囲が決まっちゃいます。
重要なのは、3つ。

■登場人物

■くくり

■修飾

これら3つについて。

■登場人物
登場人物というのは、構成要素のことで、
ここでは、「バナナ」、「ミカン」、
「カレーライス」ということになります。

権利侵害を主張するためには、相手方が、
これら登場人物のすべてを使ってる必要があるんですね。

つまり、「バナナ」が入っていない「カレーライス」や、
「ミカン」が入っていないカレーライスは、
権利範囲外ということになります。

なので、登場人物は、少ない方が、権利範囲は広くなります。
したがって、特許を表現するときは、最低限の登場人物のみ
登場させるのが鉄則です。

■くくり
これは、上位概念化のことです。
たとえば、「バナナ」と「ミカン」を上位概念化して、
「果物」とすれば、権利範囲は広くなります。

でも、「果物」には、「リンゴ」も含まれてしまい、
「リンゴ入りのカレーライス」という昔ながらの
バーモントカレーなども入ってきてしまいます。

なので、上位概念化しすぎると広くなりすぎてしまい、
新規性がないモノとして特許されにくくなります。

したがって、特許を表現するときは、新規性を無くさない
ギリギリのところまで上位概念化するのが鉄則です。

■修飾
たとえば、以下のようになっていたらどうでしょう。
「台湾産のバナナと、愛媛産のミカンが入ったカレーライス」

この場合、「フィリピン産のバナナ」であれば、権利範囲外です。
また、「佐賀産のミカン」なら権利範囲外です。
なので、余計な修飾は死を招くことになります。

したがって、特許を表現するときは、最低限の修飾で
余計な飾りを付けないのが鉄則です。

これらを踏まえると、特許の表現で重要なのは、
まず、発明の本質を正確に理解するってことですね。

でないと、発明を成立させる上で必要な要素か否かの
判断が誤ってしまい、権利範囲が変わったり
狭くなったりしてしまいます。

なので、発明の本質をとらえて、
それをギリギリまで上位概念化して、
余計なことを書かずに記載するということが必要になってきます。

まあ、簡単に言いますが、訓練しないとまずできません。
わたしは、毎日毎日仕事として書いてましたが、
“どんな発明が来ても何とか対応できるようになったかな”
と思えるようになるまでに、3年かかりました。

いまでも、毎回悩みながら書いてます。

わたしの個人的な見解を言います。

“使える権利として適切な特許明細書を作成することは、
シロウトには不可能”

やっぱり、プロにまかせた方がいいです。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

 

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