代表弁理士 宮川 壮輔
最近、内装工事の設計図に関する
判決が出されましたφ(.. )
(令和4年(ネ)第10079号)
争点の一つは、本件設計図に著作権が
発生してるかどうか、という点。
どうですかね?
設計図には、著作権が発生していると
思いますか?
結論としては、本件設計図に関して
著作物性は認められませんでした(>o<)
おおよその事案はこんな感じ。
若干簡単化してます。。。
・Aさんが、商業施設の店舗に関する
内装工事の設計図を作成しました。
・Bさんが、無断でその設計図に基づく
内装工事を行い、店舗をオープン。
・Aさんが著作権侵害でBさんを提訴。
そもそも、設計図というのは、
著作権の保護対象になるんでしょうか?
順番に見ていきましょう(^_^)b
まずは、著作権の保護対象は、
「著作物」ということになっています。
なので、今回の事件のように、
対象の著作物性が認められるか否か
というのは、そもそも論として
非常に重要なわけです(@_@)
「著作物」というのは、
こんな感じで定義されています。
●著作権法2条
「
思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
」
つまり、「著作物」とは、
「思想又は感情を創作的に
表現したもの」なわけで、
今回の設計図が、
「思想又は感情を創作的に
表現したもの」と言えるかどうかが
争われたわけですねd(^_^o)
なお、著作権法の中では、
著作物が例示されています。
こんな感じです。
●著作権法10条5号,6号
・建築の著作物
・地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
「建築」については著作物として
例示されていますね。
一方、「設計図」は、
「学術的な性質を有する図面」
として例示されています。
ただし、例示されているからといって
全ての設計図が著作物に
該当するわけではありません(^_^)b
あくまでも、著作物の定義である
「思想又は感情を創作的に
表現した」設計図が、
著作物に該当し、
著作権の保護対象となり得ます。
今回、裁判所は、以下のとおり
判断しています(`´)
「
設計図が工事に携わる者に
共通して利用されるものであることは、
むしろ、多くの場合、
様々な関係者が施工内容を
理解することができるよう、
作図上の表現方法や
内装の具体的な表現は
実用的、機能的でありふれたものに
ならざるを得ないことを示すもの
というべきであり、現に、
原告設計図や原告設計図の
具体的な表現内容が実用的、
機能的でありふれたものである
」
として、著作物性を認めませんでした。
つまり、今回の設計図は、
「思想又は感情を創作的に
表現したもの」ではない、
と判断したわけです(`ε´)
ちなみに、今回の判決では、
本件設計図は著作物ではない、
と判断されましたが、
設計図であっても、
「思想又は感情を創作的に
表現したもの」に該当すれば、
著作物として認められるケースも
あります(^_^)b
実際に、裁判で認められたケースも
ありますよ(°°)
設計図は著作物である・ない、
などとYesかNoかで単純に
認識しようとすると
思考停止してしまい、
判断を誤ります(^_^;
しっかりと、法律の定義に基づいて
考えるということが、
法的判断の上では重要ですね。
続きは、また次回。
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●●今回のネオフライト奥義●●
・設計図は著作物なの?
・創作的に表現したものかどうか?
・定義に基づいて判断しよう!
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