第229回:システム系の特許の侵害とは?

 

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔です。

さて、今回は、いろんな顔のお話し(^0^)

前回、間接侵害についてお話ししました。

 

間接侵害っていうのは、

追いかけていくと、結構いろんな問題があります(^Д^)

この辺は、結構おもしろいところでもあります。

ただし、この辺のおもしろさを味わってもらうためには、

前提となるお話しが必要となりますね。

今回は、間接侵害の問題というよりも、

その前提のお話しです(^.^)

 

理解すべきは、IT系技術の問題かな。

IT系の技術というのは、

いわゆる物の発明とは違った性質がありますね(^_^)b

たとえば、こんな感じ。

 

●コピーが超カンタン

●サーバーや端末など、装置や処理の分散が容易

●サーパーや端末の分散により、実施形態のバリエーションが多い

●国境を越えるのが容易

 

そのため、物の発明とは違った保護が求められます。

特許の世界では、IT系の発明の場合、

対象は同じでも、異なるものとして幾重にも表現するのが一般的。

たとえば、こんな発明があるとしましょう。

 

●「メールを受信して保存するサーバと、

そのサーバからメールを受信する端末と

を備えるメール送受信システム。」

 

直接侵害の原則からいうと、競合企業が、

「サーバ」と「端末」と「メール送受信システム」

という構成要素のすべてを実施していないと、

侵害にはなりませんでしたね(・o・)

 

でも、「端末」って、実際には、個人ユーザのパソコンですよね。

個人ユーザは、競合企業とは、あまり関係ないはず(^_^;)

そんな個人ユーザのパソコンを含めないと侵害を問えないというのは、

保護が弱くなりますね(>_<)

もちろん、「端末」を含まなくても、

一部の実施ということで、

間接侵害の可能性はあります(^.^)

 

でも、間接侵害というのは、権利侵害の例外なので、

適用するための条件をクリアしなければなりません。

それよりも、できるだけ直接侵害を問えるようにした方が、

現実的には権利行使が容易になります(^○^)

 

なので、こんな表現もプラスします。

●「メールを受信・保存して端末に送信するサーバ。」

 

こうすると、「端末」がなくても、

「サーバ」だけで、直接侵害となりますね(^o^)

この方が、個人を含めず、競合企業の行為だけで

侵害を問いやすくなります。

 

さらに言うと、競合企業は、

「サーバ」を製造・販売しない場合もありますよね。

たとえば、単に、メールサービスやプログラムを提供する場合です。

そんなときのために、こんな表現もプラスします。

 

●「メールを受信・保存するステップと、

メールを端末に送信するステップと

を含むメール送受信方法。」

 

●「メールを受信・保存するステップと、

メールを端末に送信するステップと

を含むメール送受信プログラム。」

 

これにより、サーバがメールを送受信するような

「方法」や「プログラム」も保護対象となります(^0^)

 

今までの表現をまとめてみると、こんなのがありました。

●メール送受信システム

●サーバ

●メール送受信方法

●メール送受信プログラム

 

これらって、実は、表現は変わってますが、

対象となっている発明は、まったく変わってないんですよね。

言葉の違いだけです(°0°)

ここが特許のおもしろいところで、

目の前の発明はまったく変わらないのに、

言葉を変えるだけで、

いろんな方向から保護が可能になります(・o・)

「多面的保護」なんて言ったりします。

というより、IT系の技術の場合、

実施形態が多様になるので、

視点を変えて、いろんな方向から

権利侵害を問えるようにしておかないと、

競合企業が容易に権利を抜けてしまうんですね。

なかなか奥が深いですな(*_*)

 

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●●今回のネオフライト奥義●●

・IT系の発明は、実施形態のバリエーションが豊富!

・IT系の発明は、いろんな側面からの保護が必要!

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一つの発明のように見えても、

視点を変えると実は、いろんな顔を持っています。

なので、特許の世界では、それらいろんな顔を

権利範囲となるように表現します。

それは、まるで、ピカソのキュビズムのように。

それでも、IT系の特許には、

いろんな問題をはらんでます。

間接侵害や国境の問題などなど。

次回以降で、これらの問題を紹介しま~す(^▽^)

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川 壮輔

 

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