第68回:特許権を使うにはどうすれば良いの?

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、特許を使ってみようというお話しです。
前回は、参入障壁の正体についてお話ししました。
特許による独占的に実施できる権利と、
損害賠償請求権・差止請求権による実効力。

これによって、人々の頭の中に、参入障壁という、
観念的な壁が構築されるのでした。

今回は、損害賠償請求権・差止請求権の実務的なお話しです。
これによって、参入障壁という意味を実感されるかもしれません。

さて、特許を取ったあとに、競合他社がパクリ製品を
販売していたとしたら、どうしますか?

こういう場合って、どうすればいいのか、
意外と分かりにくいかもしれませんね。
実務をやってみないと、イメージしにくいと思います。

まずは、そのパクリ製品が、自分の権利範囲に
入っているかどうかを見極める必要があります。
これが意外と難しいんです。

特許権を持っている側は、
”わたしが考えた製品はこんな感じだから、この製品は権利侵害だ”
という人が多いです。

しか~しである。
特許権の権利範囲は、技術者がどんな製品を
考えたかということなんて、まったく関係ありません。

つまり、実際の製品がどんなものかは一切関係なく、
特許明細書に記載された言葉が、特許の権利範囲となるんですね。

そうそう、書面主義ってヤツです。
だから、そのパクリ製品が、自分の特許明細書に記載された
権利範囲に入っているかどうか、
言葉を読み解いていく必要があります。

権利範囲を読み解くのは、かなり難しいことが多いのですが、
まあ、仮に権利範囲に入っているとしましょうか。

その場合、競合他社に、警告書を送ることになります。
警告書っていうのは、こんな感じです。


貴社の製品は、弊社の特許を侵害してま~す。
すぐに、製造・販売を止めておくんなませ。
2週間くらいで、お返事くれると、うれし~な。
シカトとかすると、やりたくないけど裁判とか
やんなきゃいけないので、堪忍してくんなはれ。

まあ、こういう警告書で止めてくれるところが多いですね。
特に、明らかな権利侵害の場合、大企業であればあるほど、
ちゃんと言うこと聞いてくれ易い傾向にあります。
この時代、明らかな権利侵害を無視し続ける大企業は、
ほぼ無いと言っていいですね。

このように、警告書によって、競合他社が
製造・販売を止めたとしたら、
それは、特許によって、競合他社を
市場から排除したということになります。

わたし自身も、お客さまから相談を受けて、警告書を送ることがあります。
お客さまが中小製造業で、相手方が大企業なんてこともありました。

そのとき、ある大企業は、
「ウン千万払うから、何とか水に流していただきたい!」
という提案をしてきました。

まあ、このケースは、実は、いろいろとウラがあったんですけど、
結局、その中小製造業は、大企業からウン千万払ってもらったんです。
これが、特許のパワーです。

このように、特許を効果的に使うことによって、
競合他社を市場から排除することや、
損害賠償としてお金を払ってもらうことができます。

これが、参入障壁という観念的な壁が構築されることによる
実効的なパワーということになりますね。

ちなみに、警告しても、まったく言うことを
聞かなかったとしたら、裁判するしかないです。

裁判は、お金と時間がかかるので、
自分も相手も本当はやりたくないんですけどね。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

 

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