こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。
さて、今回は、特許を使ってみようというお話しです。
前回は、参入障壁の正体についてお話ししました。
特許による独占的に実施できる権利と、
損害賠償請求権・差止請求権による実効力。
これによって、人々の頭の中に、参入障壁という、
観念的な壁が構築されるのでした。
今回は、損害賠償請求権・差止請求権の実務的なお話しです。
これによって、参入障壁という意味を実感されるかもしれません。
さて、特許を取ったあとに、競合他社がパクリ製品を
販売していたとしたら、どうしますか?
こういう場合って、どうすればいいのか、
意外と分かりにくいかもしれませんね。
実務をやってみないと、イメージしにくいと思います。
まずは、そのパクリ製品が、自分の権利範囲に
入っているかどうかを見極める必要があります。
これが意外と難しいんです。
特許権を持っている側は、
”わたしが考えた製品はこんな感じだから、この製品は権利侵害だ”
という人が多いです。
しか~しである。
特許権の権利範囲は、技術者がどんな製品を
考えたかということなんて、まったく関係ありません。
つまり、実際の製品がどんなものかは一切関係なく、
特許明細書に記載された言葉が、特許の権利範囲となるんですね。
そうそう、書面主義ってヤツです。
だから、そのパクリ製品が、自分の特許明細書に記載された
権利範囲に入っているかどうか、
言葉を読み解いていく必要があります。
権利範囲を読み解くのは、かなり難しいことが多いのですが、
まあ、仮に権利範囲に入っているとしましょうか。
その場合、競合他社に、警告書を送ることになります。
警告書っていうのは、こんな感じです。
「
貴社の製品は、弊社の特許を侵害してま~す。
すぐに、製造・販売を止めておくんなませ。
2週間くらいで、お返事くれると、うれし~な。
シカトとかすると、やりたくないけど裁判とか
やんなきゃいけないので、堪忍してくんなはれ。
」
まあ、こういう警告書で止めてくれるところが多いですね。
特に、明らかな権利侵害の場合、大企業であればあるほど、
ちゃんと言うこと聞いてくれ易い傾向にあります。
この時代、明らかな権利侵害を無視し続ける大企業は、
ほぼ無いと言っていいですね。
このように、警告書によって、競合他社が
製造・販売を止めたとしたら、
それは、特許によって、競合他社を
市場から排除したということになります。
わたし自身も、お客さまから相談を受けて、警告書を送ることがあります。
お客さまが中小製造業で、相手方が大企業なんてこともありました。
そのとき、ある大企業は、
「ウン千万払うから、何とか水に流していただきたい!」
という提案をしてきました。
まあ、このケースは、実は、いろいろとウラがあったんですけど、
結局、その中小製造業は、大企業からウン千万払ってもらったんです。
これが、特許のパワーです。
このように、特許を効果的に使うことによって、
競合他社を市場から排除することや、
損害賠償としてお金を払ってもらうことができます。
これが、参入障壁という観念的な壁が構築されることによる
実効的なパワーということになりますね。
ちなみに、警告しても、まったく言うことを
聞かなかったとしたら、裁判するしかないです。
裁判は、お金と時間がかかるので、
自分も相手も本当はやりたくないんですけどね。
それでは、また次回。
ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔
業界初の”エンタメ系”実践特許術!
「特許専門の弁理士が、あなただけにコッソリ教える実践特許6つの秘訣!」PDF A4:53ページ