代表弁理士 宮川 壮輔
先日、リーバイスが、
イタリア高級ブランドの
ブルネロ クチネリを
商標権侵害で提訴したとの
発表がありました(@_@)
アメリカでのお話しです。
ファッションと商標との関係って、
意外と難しいんですよね(>o<)
ファッション系の世界では、
“商標的使用”の話題を
避けては通れない(T^T)
この“商標的使用”という考え方は
慣れるまではなかなか難しい(@_@)
例えば、商標が犬の絵で、
指定商品がTシャツだったとしましょう。
他者が、Tシャツの前面に
同じ犬の絵を付けていたら
どうなるか?
普通に考えたら、
それって商標権侵害ですよね。
でも、そうならない可能性も
結構あります(・o・)
それが、“商標的使用”
という考え方です。
“商標的使用”というのは、
商標は識別標識なんだから、
識別標識として使用されて
初めて商標として
機能するんであって、
識別標識として使用されて
いないのであれば、
商標として使用されている
わけではないので、
侵害にはならない、
という考え方(^_^)b
他者の商標を使っているのに、
商標の機能としては使っていないので、
非侵害、ということですねd(^_^o)
一見、おかしな感じがするかも
しれませんね(^_^;
なぜこの考え方が必要かというと、
こういうことです。
例えば、商標「みかん」に対して、
指定商品「段ボール」だとする。
指定商品「段ボール」に
商標「みかん」は普通名称では
ないので、既登録商標が無ければ、
登録される可能性は高いです(^_^)b
そうすると、商標権者以外の人が、
段ボールにみかんを入れて、
側壁部に「みかん」と書くとどうなるか?
形式的には、他者商標を段ボールに
使用してますので、侵害になって
しまいますね(°°)
でも、これってマズいですよね。
だって、中味がみかんで、
外箱にもそのままの「みかん」と
書いて流通させることは、
極めて普通のことですからね。
なので、このような商標の脱法的な
使い方を防止するものとして、
“商標的使用”という考え方が
あるわけです(・o・)
つまり、段ボールのメーカーが
自社商品の段ボールに
自社商標を付ける場合は、
側壁部に目立つように付ける
のではなく、隅の方に小さく印刷
することが普通ですφ(.. )
なので、商慣行等に照らして考えて、
段ボールの側壁部に文字や絵を
付けたとしても、それは段ボールの
内容物を示しているのであって、
段ボールという商品の識別標識として
機能しているのではない、ということ。
つまり、それは、“商標的使用”ではない
ということであって、商標権侵害には
ならないということですd(^_^o)
こうすれば、他者が段ボールの側面に
「みかん」と書いてみかんを流通させても、
その商標権の侵害にはならないので、
みんなが自由に「みかん」と書いて
使えるってわけです(^O^)
ファッションに話しを戻すと、
商標が犬の絵で、
指定商品がTシャツの商標権に
対して、他者が、
Tシャツの前面に犬の絵を
付けたとしたらどうなるか。
商慣行等に照らして考えると、
自社商品であるTシャツに
自社商標を付ける場合、
Tシャツの襟元のタブなどに
自社商標を付けることが
普通であって、Tシャツの前面に
付けることは、デザインや模様の
一部に過ぎない、とも考えられます。
そうすると、他者がTシャツの前面に
犬の絵を付けても、
それは“商標的使用”ではない、
として非侵害となる可能性があります。
ちなみに、リーバイスと、
ブルネロ クチネリの訴訟が
どうなるかに関しては、
具体的な商標権と、
具体的な使用態様が分からないので、
何とも言えません。
現在、ブルネロ クチネリは、
「
われわれが使用している装飾は
デザインも目的も異なり、
ロゴではなく装飾品である
ことは明らかだ
」
と主張しているようです(@_@)
ということは、
商標的使用ではない、
と主張する可能性が高そう。
この商標的使用という考え方が
1つの論点となりそうですね(^_^)b
それでは、続きはまた次回。
━━━━━━━━━━━━━━━
●●今回のネオフライト奥義●●
・商標的使用を理解しよう!
・商標として機能しているか?
・商標的使用でなければ非侵害!
━━━━━━━━━━━━━━━
業界初の”エンタメ系”実践特許術!
「特許専門の弁理士が、あなただけにコッソリ教える実践特許6つの秘訣!」PDF A4:53ページ