著作権と意匠権の違いとは?中小製造業はどちらを使うべき?

代表弁理士 宮川 壮輔

デザインを保護する知財権としては、
どんなものがありますか?

主として、以下の2つの権利がありますね。

・意匠権
・著作権


これら意匠権と著作権って、
どう違うんでしょうかね?

まずは、意匠権の特徴は、
物品のデザインを保護する
ものであって、
特許庁での登録が必要、
ということですね(^○^)

一方、著作権の特徴は、
思想や感情の創作的表現を
保護するものであって、
文化庁での登録は不必要、
ということ(^_^)b

意匠権は登録が必要で、
著作権は登録が不必要であるなら、
著作権の方がメンドくさくなくて良い?
と思うかもしれません(^_^)

しかし、意匠権と著作権とでは、
保護対象が異なります
(°°)
意匠権の場合、
保護対象は物品のデザインですので、
自社製品や工業製品などの
プロダクト系のデザインは、
基本的には保護対象になります。

一方、著作権の場合、
保護対象は、
思想や感情の創作的表現
です(・o・)
ですので、美術・芸術・音楽・アート
の世界には馴染みますが、
工業の世界には馴染みにくいです。

確かに、重複する部分も
ありますが、その重複する部分は
意外と狭い、と思っておいた方が
良いでしょう
(°0°)

例えば、令和3年12月に、
知財高裁である判決が出ました。
モノとしては、“タコの滑り台”です。

A社の滑り台の著作権を
B社の滑り台が侵害する、
とA社が主張しました。

ちなみに、攻めのA社の滑り台はこちら。

(令和3(ネ)10044 より)

一方、守りのB社の滑り台はこちら。

(令和3(ネ)10044 より)

これらって、似てると思いますか?
似ていたら侵害で、
似ていないなら非侵害となる
可能性が高くなりますが、
実はそもそもの論点は
そこではありません(@_@)

そもそもの論点は、
A社の滑り台は、
著作物として著作権の
保護対象なのか?
という点です
(^-^)

ここでは、何度も言ってますが、
模倣することは原則自由です。
つまり、原則で言えば、
A社の滑り台をマネして、
他社が滑り台を販売することは
自由です(゜◇゜)

しかし、知財権の権利範囲に
入っているものをマネすると、
例外として、その知財権の侵害
となります(>_<)
なので、知財権の権利範囲に
入っていなければ、
原則に戻って、模倣はOK
ということになります。

今回、A社は、B社に対して、
著作権侵害を主張しましたが、
そのためには、A社の滑り台が、
著作権の保護対象としての
著作物なのか?ということが
問われた訳です(^_^)

結論を言うと、
地裁・高裁とも、
A社の滑り台の著作物性を
否定しました
(°°)
つまり、これは著作物ではない、
としたんですね。

理由は、簡潔に言うと、
「美的鑑賞の対象となり得る
美的特性である創作的表現
を備えていない」
ということでしたφ(.. )

改めて言うと、
今回は、A社の滑り台と、
B社の滑り台を比較して
似てる・似てないといった
判定をしているのではありません。
あくまでも、A社の滑り台が、
そもそも著作物ではないので、
著作権は発生していない、
ということなんですね
(^_^)b

これが、意匠権だったとしたら、
登録されるかどうかの
問題はありますが、
もし登録されて意匠権が
発生していたとすれば、
審査の段階でそもそも
“これは物品のデザインである”
と判断されて、事前に特許庁に
登録されている訳ですから、
今回の判決のような、
そもそも意匠権が発生してるか?
といった議論にはなりにくいですね。
つまり、意匠権であれば、
似てる似ていないの侵害論を
戦わせることができたでしょう(@_@)

このように、意匠権は
事前の登録が必要ですが、
権利の存在は主張し易い、
というメリットがあります
(^-^)
一方、著作権は事前の登録は
不要ですが、侵害を主張するときの
権利の存在が不安定であるという
デメリットがありますね(>o<)

一般的な中小製造業であれば、
基本的には、著作権ではなく、
意匠権による保護を検討すべき、
ですね。


続きは、また次回。


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●●今回のネオフライト奥義●●

・意匠権と著作権とでは重複もある!
・工業製品は著作権では保護しにくい!
・意匠権を優先すべき!

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