第97回:日本の特許第1号ってどんなもの?

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、2011年1発目ということで、
特許第1号のお話し。

社長は、日本の初めての特許がどんなもので、
いつ成立したかご存じですか?

まあ、日本の特許法自体が、いつ頃できたのかも、
良く分からんですよね。

日本の特許法で一番古いのは、
明治4年(1871年)に公布された「専売略規則」ってヤツです。

現在の法律は、すべて明治以降のものですから、
特許法というのは、結構古い法律なんですね~。

ちなみに、江戸時代には、「新規法度」というお触れが出され、
所定の商品に関しては、
「新製品を作ることは一切まかりならぬ」
という風になっていました。

つまり、江戸時代には、
新しい事物の出現を忌避する傾向があったようなんですね。

その後、明治の世になると、
新しいものを奨励する特許法(「専売略規則」)が
出されたんです。

これは、おそらく外圧によるものだと思います。
不平等条約の解消の条件として、欧米列強国から、
特許法などの法整備が条件として出されました。

それで、いち早く特許法的なものを作ったんでしょう。
そんな中、宮内省の技師であり、彫刻家・漆工芸家
でもある堀田瑞松(ずいしょう)さんが、出願しました。

明治18年(1885年)7月1日です。
それから、1ヶ月半後の8月14日に特許になりました。
これが、日本の特許 第1号です。

ちなみに、現在では、出願してから特許になるまで、
だいたい2~3年かかりますので、
この頃は、相当早かったんですね~。

さて、明治18年の第1号特許って、どんなものなんでしょう。
発明の名称は、
「堀田式錆止塗料とその塗法」
です。

分かり易く書くと、
「サビ止めの塗料とその塗り方」
です。

その明細書には、生漆(きうるし)を主成分とした塗料であって、
その他の成分の配合が書かれています。

わたしとしては、もっと簡単な「亀の子たわし」的な
ものを想像していたのですが、
さすが、日本の伝統芸能である漆工芸の応用となると、
漆関係の知識がないと、現代人でもよく分からんですな。

なぜ、漆工芸家が、サビ止めの特許を取ったかというと、
こんな事情があったそうです。

明治といえば、海軍。
その頃の船は、鉄製。
当然、船底が海水によってすぐにサビ付いてしまいます。

なので、半年に1回くらいは、船底の塗装が必要で、
こいつがメンドクサイ。

そこで、強力なサビ止め塗料があれば、
船のメンテナンスが楽になるって寸法ですな。

文明開化とともに押し寄せてきた欧米の利器でも、
まさに水面下では日本の伝統がしっかり支えてるってのが、
おつですね~、しかし。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

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