第82回:従業員の発明っていくら?

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、従業員の発明のお話し。
1ヶ月ほど前に、プレステで使われた発明について、
ソニーの元社員が、相応な支払いをソニーに要求した事件の
判決が出てました。

判決は、
「ソニーは、元社員に、512万円支払え」
というものでした。

会社の従業員が、自分の職務として行った発明を、
「職務発明」
といいます。

今回の事件も、職務発明です。
職務発明の支払い訴訟は、2004年に
世間をあっと驚かせたんです。

その地裁判決は、こういうものでした。
「企業は、発明者に、200億円支払え!」

それにしても、200億円ですよ。
これは、中村修二さんの青色発光ダイオード事件
として有名ですよね。

これによって、日本の職務発明のあり方が
変わったと言ってもいいくらい、
歴史的な判決です。

中村さんは、結局、企業側と、
8億4,000万円で和解しました。
それでも、8億です。

ちなみに、この事件の後、さまざまな物議を醸し出し、
日本の特許法まで改正されました。
どちらかというと、発明者に有利なように改正されました。

しばらくは、発明者有利に進んできた流れも、最近は、
冷静さを取り戻した感がありますね。
非常識に高い支払い判決は、
あまり聞かなくなったような気がします。

ソニーの判決も、1億円の支払い要求に対して、
512万円の支払い判決でしたからね。

まあ、確かに、発明者は、会社のお金で研究開発し、
当たらなくてもなんらペナルティの無い状態で、
「一発当たったから、お金を払え」というのでは、
企業側としては、たまったもんじゃないですよね。

つまり、発明者は、ノーリスクなのに、
企業は、ハイリスクを背負って商売してる訳ですからね。

かといって、あまりにも報酬が低すぎるのも、
発明者へのインセンティブとしては低すぎます。

日本の優秀な技術者が外国に流出してしまう、
という気持ちも分からんでもありません。

まあ、今までが安すぎたので、これからは、
全体として支払額が押し上げられることになるでしょうね。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

 

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