第58回:中国商標の問題ってなに?

こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。

さて、今回は、商標のお話しです。
わたしがいつもお世話になっているOさんから、
先日メールを頂きました。

「中国商標について、問題になっているようですが、
よく分からないので、メールレターで取り上げて欲しい」
ということでした。

なので、今回は、中国商標の問題についてです。
まず、外国の権利を考える場合、以下の点について、
理解しておく必要があります。

■権利は国境を越えない!

そうなんです、基本的に、権利は国境を越えないんです。
なので、日本で外国人が悪さをした場合、
その外国人は当然日本の法律によって裁かれます。

一方、日本人が外国で悪さをした場合、
その日本人は外国の法律によって裁かれます。
法治国家というのはそういうもんです。

だって、例えば民主主義の場合、その国の国民が選んだ
政治家によって、法律が作られて承認される訳ですよね。
自国民がまったく関与していない外国の法律が、
知らん間に自国内で適用されたら、たまったもんじゃないですよね。

もう一度言います。
権利は国境を越えません!
これを属地主義(ぞくちしゅぎ)などと言ったりします。

ということは、商標に関しても同じことが言えます。
日本の商標権は、日本の商標法によって規定されています。
また、中国の商標権も、中国の商標法によって規定されています。

日本の商標権は、日本にしか及びません。
中国の商標権は、中国にしか及びません。

もし、日本、中国、その他外国で商標権を取りたい、
という場合、基本的には、日本、中国、その他の外国で、
別個に出願して権利を取らなければならないんですね。

そこで、問題が生じてきます。
たとえば、日本で「青森」という商標権が取れたとしましょう。

もちろん、日本では有効なんですよね。
だから、日本で、ちゃんとした権利者が
「青森」という商標を使っても、まったく問題ないんです。

でも、中国にはその権利は及んでいないわけです。
そこで、まったく関係ない第三者が、
中国で「青森」という商標を出願して勝手に
権利を取ってしまったらどうなるでしょう?

ちゃんとした日本業者が、日本の本物の青森産リンゴを、
「青森」と書いて日本で販売するのはOKなのに、
中国で販売すると、それは中国商標権の侵害となってしまいます。

しかも、その中国商標権、「青森」とは
何にも関係ない第三者が持ってるんです。
これっておかしいですよね。

結局、青森県が中国当局に異議を申し立てたことにより、
商標「青森」は中国で登録されなかったようです。
でも、他にも似たようなケースが結構あるんです。

例えば、「クレヨンしんちゃん」の中国語表記は、
中国で先に第三者によって登録されていました。
日本企業が、中国展開できないということで、
問題になっていましたよね。

芋焼酎の希少銘柄として知られる「森伊蔵」なんかも同じです。
日本の銘柄「森伊蔵」が、中国で出願されていたそうです。
これが中国で登録されてしまうと、
「森伊蔵酒造」さんが中国で「森伊蔵」という商標を
使うことができなくなる訳ですね。

「森伊蔵酒造」さんも、中国当局に異議を申し立てたようです。
ということで、今回は中国商標の問題についてのお話しでした。

なんとなくはお分かり頂けましたでしょうかね?
中国で商品を販売するご予定があるようでしたら、ご相談下さいね。

それでは、また次回。

 

ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔

 

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