こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔です。
さて、前回、知財のマッチングについて
お話ししました(^0^)
今回は、エンブレムのお話し。
なんか、最近、東京オリンピックのエンブレムが
ベルギーのデザイナーが作った劇場のロゴマークに
似てるとか似てないとか、問題になってますね。
報道などでは情報が錯綜してますね(>_<)
確かに、不慣れな人には分かり難いですな。
実を言うと、専門家にだって分かり難いです(ーー;)
いろんな法域が錯綜していて、
一筋縄ではイカンですな。
ここは一つ、状況を整理してみたい。
まず、マネすることは、原則自由です。
このスタンスからスタートしよう(^_^)b
そう、マネるのは、原則自由です。
ただし、知的財産などによって守られている場合には、
例外として、マネしてはいけないってことになります。
ということは、ベルギーのロゴが、
知財によって守られてるかどうかが、まずは問題ですな。
今回、対象となる知財は、以下の3つです(^O^)
(1)商標権
(2)不正競争防止法
(3)著作権
つまり、この3つのどれかによって守られてるってことが
ベルギー人が主張する侵害の前提となりますね。
ここまでは、まあシンプルな構造ですp(^_^)q
情報が錯綜するのは、ここからですな(>o<)
前提として、以下の2点について、
知っておく必要があります(^o^)
(A)保護のために登録が必要か
(B)権利は国境を越えるか
まず、(A)保護のために登録が必要か、についてです。
結論を言うと、(1)の商標権のみ登録が必要です。
違う表現をすると、
商標権侵害を主張するには、
商標の登録が必要です、ということですな(^.^)
まとめると、以下の通りです。
(1)商標権・・・登録が必要。
(2)不競法・・・登録は不要。
(3)著作権・・・登録は不要。
次に、(B)権利は国境を越えるか、についてですな。
原則として、権利は国境を越えません。
ただし、例外として、条約加盟などによって
国境を越えることがあります。
今回の知財3つのうち、国境を越えるのは、
(3)著作権のみです(*_*)
改めてまとめると、以下の通りです。
(1)商標権・・・登録が必要。国境越えない。
(2)不競法・・・登録は不要。国境越えない。
(3)著作権・・・登録は不要。国境越える。
う~ん、この前提を整理して、
ようやく話ができる感じになりますな( ̄^ ̄)ゞ
(1)商標権について
ベルギー人が主張する上で、
商標権は国境を越えないってことは、
日本で商標”登録”されていることが前提です。
これについて、ベルギーの劇場ロゴは
日本で商標登録されていないようですので、
商標権侵害の主張は、あり得ません。
バッサリと斬れますね(^_^)b
(2)不競法について
これも、国境を越えないってことは、
日本での話しが前提です。
しかも登録不要ですよね。
ただし、不競法の場合、
ベルギーの劇場ロゴが、日本で有名であることが必要です。
これについては、そんな劇場ロゴなんて誰も知りません。
なので、不競法による主張もほぼないです。
これも、バッサリ斬れます(^○^)
(3)著作権について
こいつは、登録は不要だし、国境も越えてきます。
ということは、ベルギーで生じた著作権でも、
日本に効力を及ぼしてきます(°0°)
なので、ベルギー人が主張するとしたら、
著作権侵害しか、ほぼあり得ないです。
マスコミなどで、商標侵害とかなんとか言ってたとしたら、
間違いですので、踊らされないようにしたいですな。
ただし、著作権侵害と言うためには、
主として以下の2つが条件となります。
(ア)相手が、自分のロゴをもとにしたこと。
(イ)相手のロゴと、自分のロゴが似ていること。
日本人デザイナーが、
「ベルギーの劇場ロゴの存在を知らなかった」
と言ってますね。
これは、著作権上、
”劇場ロゴをもとにして作っていない”
ということで、上記(ア)の条件を外すためのコメントですね。
もちろん、本当に知らなかったかもしれないです。
また、肝心のロゴの類似について。
まあ、結論から言えば、
”似てない”ってことになると思います。
非類似ってヤツです。
そうすると、
(ア)相手は、自分のロゴをもとにしてなさそうだし、
(イ)2つのロゴは似てないので、
ベルギー人の著作権侵害の主張は、
おそらく通らないでしょう。
ただし、争いを終わらせるために、
和解金で解決するというのは、あり得る。
そうなると、ベルギー人の思惑通りかも(^_^;
まあ、オリンピック委員会としては、
断固として拒否するんじゃないかな。
こういう前例は作りたくないしね~。
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●●今回のネオフライト奥義●●
・パクリは、原則自由だ!
・ただし、知財権があるとパクリはNG!
・東京五輪側が有利、ベルギー人側は不利。
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オリンピックのように、
世界的規模になると、
ロゴだの何だのって、
大変ですな。
気を付けたいものです。
それでは、また次回( ^o^)ノ
ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川 壮輔
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