こんにちは~、ネオフライトの宮川壮輔 です。
さて、今回は、「ハネウェルvsミノルタ事件」の 続きのお話し。
ハネウェル社のオートフォーカスチップが、 キヤノンの新チップに食われていきました。 この辺で、前回は終わってましたよね。
ハネウェル社は、次の勝負先を考えました。 その勝負先とは、一眼レフ用オートフォーカスです。
前回の戦場は、コンパクトカメラ、いわゆる普通の カメラのオートフォーカス市場だったんです。
今回は、一眼レフ用のオートフォーカス。 「一眼レフ用」と、言葉で書くのは簡単ですが、 こいつのオートフォーカスは結構難しいんです(T_T)
ハネウェル社は、一眼レフ用のオートフォーカスの、 ある機能について発明して、特許を取得しました。
しかし、オートフォーカスチップの開発には難航。 なんとか、作ったものの、性能は良くなかった(>o<)
それでも、ミノルタ含む各日本メーカーと 契約を交わすまでにいたりました。
日本メーカーとしては、ハネウェル社のチップを 使って、一眼レフ用のオートフォーカスカメラを 早く作りたかったのですが、現時点でのチップは、 製品としては使えない。
ミノルタは、ハネウェル社に改善要求を いろいろと出していきました。
でも、ハネウェル社は、フットワーク良く動いては くれなかったようですね。
そこで、ミノルタは、思ったんです。 「こいつは埒あかんで~、 ハネさんがやらないんじゃ、自分で作ったろやないかい!」
このとき、ハネウェル社とミノルタとの間に 恐ろしい亀裂が入ろうとしていました(°0°)
それにしても、日本の技術力はただものじゃないですな。 ミノルタは、日本の半導体メーカーと組んで、 ついに、チップを完成させました。
しかも、チームジャポンの製品ですから、 品質は、超ウルトラ最高級。
ミノルタは、完全オートフォーカス一眼レフカメラを 米国でも発売し、その確かなオートフォーカス機能の おかげで、ニューカメラは超売れっ子になっていく。
はい、また来ました、ハネウェル社です。 実況中継です。 Mr.ハネウェルさん,please.
「くっ、一度ならずと二度までも、、、 こうなったら、とことんやったろやないかい!」
ハネウェル社の、いや、アメリカの逆襲が始まる。
ハネウェル社が、遂にミノルタを提訴(`へ´)コラ
積年の恨みが情動となって、怨念のゴングを打ち鳴らした。
争点は、いろいろあるのだが、 主として、ハネウェル社の特許が無効か否か、 という点だったようです。
つまり、ミノルタの製品は、ハネウェル社の特許権の 権利範囲に入るが、その権利そのものが無効です、 というもの。
ミノルタにも、権利範囲を広く解釈すれば侵害だが、 その場合、無効にできる、と思っていたような節が ありました。
結局、この戦いの結末はというと、、、 ハネウェル社の勝訴、 ミノルタ惨敗ということになってしまいました(ノД`)
両者の和解が成立して、ミノルタがハネウェル社に 対して支払った額、なんと約165億円(゜Д゜)
実は、他にも、ニコンが約58億円、 オリンパスが約45億円などなど、日本メーカーが 次々とハネウェル社に対して実施料を 支払っていきました。
これによって得たハネウェル社の実施料は、 莫大な額になりました。
ハネウェル社としては、してやったり(@_@)ヒヒヒ
この事件は、日本メーカーを震撼させ、 否が応でも特許の価値を認めざるを得ない 契機となりました。
一方、アメリカとしても、 パイオニア発明の得意な自分たちが 改良発明の得意な宿敵ジャポンに対して 対抗し得る効果的な手段として、 特許の価値を再認識させられたに違いない。
こうして、もの作り力が低下したアメリカは ますます特許政策に力を入れていく。
それが進化して、インテルやアップル、グーグルなど によって、アメリカの復活につながっていったのは 間違いないですな。
ちなみに、この事件で、リコーの取った作戦は 実に見事なものだった。
実は、リコーは、ハネウェル社に対して、 実施料を支払ってないんです(・o・)
なぜかというと、リコーは、自社特許の中で、 ハネウェル社が侵害しているものを探り出し、 ハネウェル社をアメリカで逆提訴したんですな。
結局、ハネウェル社の特許とリコーの特許を クロスライセンスして、お互い無償で使用しましょう ということになりました(^。^)
見事ですね~。 この点からも、ライバル企業の技術を把握して、 その技術が含まれるように特許を取るということが 非常に大事だということがお分かり頂けるでしょう。
それでは、また次回。
ネオフライト国際商標特許事務所
弁理士 宮川壮輔
業界初の”エンタメ系”実践特許術!
「特許専門の弁理士が、あなただけにコッソリ教える実践特許6つの秘訣!」PDF A4:53ページ